タケダの日常、こんな感じ

タケダの独り言、日記

黒人とMONCLERのTシャツ

これはまだ、僕が上京したての頃の話。

 

まだ大都会東京に

染まっていなかった私にとって、

全てが刺激的で楽しかった。

 

当然怖い思をした事もある。

 

今日はそんな話をしていこうと思う。

 

東京の街には外国人が多いことは

みんな知っていると思う。

 

それは観光客であったり、日本に住んでいたりと様々だ。

 

なかには、自分のお店を開いて商売している

外国人も数多くいる。

異国の地で自分の店を持つなんて

すごいことだと私は思う。

 

東京の中でも特に原宿、竹下通りには外国人が

経営しているお店が多い。

 

そして彼らの接客は、他とは一味違う。

 

地方出身や観光客を兄弟(brother)と呼ぶ。

 

私も含め、兄弟なんて呼ばれたら

知り合いかと思って

足を止めてしまうものである。

 

そして異様に距離感が近い、

いきなり肩を組んできて

本当の兄弟であったかと勘違いさせる。

 

一人っ子の僕にとっては

初めて感じた兄弟の温もりだった。

(これが兄弟なのか!よろしくな兄貴)

 

なんてことを考えていたら、

裏の路地にある、

兄貴の店を紹介してくれるそうだ。

 

兄貴の店は洋服やキャップなどを売っている

お店らしい。

 

なかなかいい感じの店だった。

 

兄貴はめっちゃいいやつで、僕に一つ一つ

商品の紹介をしてくれた。

 

「これはブランド品でなかなか手に入らない」

とか、

「このキャップは限定品なんだ」

と丁寧に教えてくれた。

 

さすが俺の兄貴だ!

めちゃくちゃ良いもの揃えてやがる。

しかも、値段が高い!

これはお金持ちの証拠だ。

 

兄貴マジかっけえっす!

一生ついていくっす!

 

僕の心の中はそんな感じになっていた。

 

しかし、別の用事があった僕は

兄貴に、「そろそろ行くわ」

と別れの挨拶をして帰ろうとすると…

 

「ちょい待て、お前何も買わずに帰るのか」

と兄貴が言った、そして続けて、

 

「お前このMONCLERのTシャツ買ってけ卍」

 

値段を見たが1万円!

高すぎる。こんなのとても買えない。

 

すると兄貴、

「MONCLERが1万円で買えるとこなんて、

他にはないぞ!」

 

しかしその当時、

良くも悪くもMONCLERを知らなかった私は、

何言ってんだこいつ?Tシャツに1万円?

バカ言ってんじゃないぞ!

 

と抵抗したのであった!

 

すると兄貴はすかさず

「じゃあいくらなら買う?」

と言ってきたので、

 

「1000円」と返した。

(その当時の私はUNIQLOが世界の全てだった)

 

「おい、そんなの死んじゃうよ兄弟」

と泣きごと言ってきやがった。

都合のいい時ばっかり兄弟使いやがって卍

 

「なら2000円、これ以上は無理」

そう伝えると渋々、納得したようだった。

 

ただ、会計中も散々文句言われ続けた。

こんな兄弟ならもういらないと

その時誓った。

 

しかし、店から出て

竹下通りに向かって戻ろうとすると、

 

似たような兄弟と叫ぶ黒人が

いっぱい声を掛けてきた。

(完全にカモだと思われているようだ)

 

だがもう数分前の僕とは違う。

全ての黒人を無視して淡々と歩き続け

竹下通りまで戻ってきた。

 

ふと、竹下通りを歩きながら

今まであった出来事を振り返ってみると、

 

数分前には兄弟と叫ぶ黒人を

本当の兄弟だと勘違いして

ついて行ってしまっていた私。

 

しかし今はしっかりと無視して淡々と歩く私。

 

数分前の自分と今の自分では確実に成長しているという事実に気づく。

 

もともと兄貴というものは、

嫌われ役に徹しながら弟を成長させていくもの

なのかもしれない。

(兄弟いないから知らんけど)

 

つまり、あの最初に出会った黒人は

僕を成長させ、東京の怖さ、厳しさを

教えてくれたという意味では、

本当の兄貴だったのかもしれない。

 

ありがとう兄貴。

 

でも、あれ絶対偽物だよね笑

 

ここまで読んでくれてありがとうございます!

 

それではまた明日。